「感染症対人類の世界史」池上 彰・増田 ユリヤ

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「感染症対人類の世界史」池上 彰・増田 ユリヤ ポプラ新書 860円(税別)

世界・日本の歴史と感染症の流行を、池上彰氏と増田ユリヤ氏の対談形式で知ることができます。

池上無双

さすが池上氏です。
説明上手だけでなく、受け手の興味をひくように、真面目な内容の中にも下世話なネタも織り交ぜています。

かみ砕いて説明してくださっている=伝える人のフィルタがかかった情報です。でも、まず概要を知ることが必要です。ここでつまづくと、先には進むことはできません。

アウトラインを理解することにより、さらに他の情報にもあたり、自分の考えを持つことができる、ということが重要ですね。

淡々と記憶していた日本史の出来事が実は

8世紀、日本では天然痘が大流行します。
当時政権の中枢にいた藤原4兄弟(武智麻呂、房前、宇合、麻呂)も天然痘で亡くなりました。

感染症の流行だけでなく、干ばつ、飢饉、大地震も重なり、日本社会に不安が蔓延しました。

そこで、人々の不安を鎮めるために、東大寺大仏が建立されました。
大仏建立のためには莫大な資金が必要でした。本書によると総工費約4,657億円だったそうです。その金額は東京オリンピック2020のため作られた新国立競技場の総工費(1,569億円)の3倍だそうです。

感染症の流行により社会経済も疲弊します。その上、国家主導の超大型プロジェクトにより、費用もかかります。
そこで、経済対策として実行されたのが「墾田永年私財法」だそうです。

東大寺大仏の建立や墾田永年私財法は、中学・高校の日本史の教科書で登場します。何となく年号とセットで記憶しているだけでした。
でもそれらの歴史的事実は、感染症の流行と深い関わりがあったのでした。

教養は大事

ということは、TOUの授業で重村 智計先生がよくおっしゃっていたことです。
同じことが本書でもいわれています。

「不安だと、手っ取り早く答えを求めたくなりますよね。あとは、この不条理な状況の原因を、素早くどこかに、誰かに押しつけたくなる。」

そこでネット上でデマが拡散されることになるのでしょうね。
デマかどうかを見破るためにも「一回落ち着いて、よく考えたら、そんなことはおかしいと思えるかどうか。基礎的な教養を身につけること」が大事です。

世界史、日本史を広く学ぶことのできるよい本です。
図書館でお借りしたのですが、表紙がこんな感じです。

「感染症対人類の世界史」

シールを貼る必要は分かりますが、池上氏と増田氏が少年A状態です。(^^;)

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