「「関ケ原」の決算書」山本 博文 新潮新書 800円+税
「金がなければ戦はできぬ!」と帯にも書かれています。
鎧、兜、甲冑、刀、槍、鉄砲などの武具や装備はお金がかかります。
さらに戦うのは人間です。食料も必要です。
関ケ原前後の歴史とともに、どれだけのお金が動いたかを本書では緻密に検証しています。
関ケ原前夜
1598年に豊臣秀吉が亡くなり、1600年に関ケ原の戦いが起きるまで2年くらいの時間がありました。
大河ドラマなどでも、このあたりは、わりとさーっと流されがちです。
しかし、実際、各大名のかけひき、動きがありました。
「「関ケ原」の決算書」では、この部分をていねいに解説してくれています。
この部分を読むだけでも、十分価値があります。
2023年の大河ドラマ「どうする家康」では、関ケ原前夜をどのように描かれるのでしょうか。家康が天下を取る戦いなのだから、そこに行きつくまではていねいに描いていただきたいです。
人たらしだけでなく、やっぱりすごい人
本書によると、戦国時代の戦は基本手弁当が基本だったようです。
大名の号令で武将たちは戦に動員されます。
戦には、武具や食料を運ぶために動員される非戦闘要員もいます。そういう人たちの食料は武将が自腹で支給していたそうです。
しかし、豊臣秀吉はちがいました。
戦に動員された武将たちは1日目から5日目は自腹、6日目以降は秀吉が出陣した武将・兵たちの食料を支給したのだそうです。
関ケ原の後
関ケ原の戦いで勝利をおさめた徳川家康は戦後処理を行います。
そこで、実際に戦闘には参加していない豊臣家の所領の一部に国奉行を置くことにより、実質的に自ら支配することとなりました。
そうやって豊臣家の財産を減らしていくようにしむけたのでした。
戦にはお金がかかる、つまり、お金があるかぎり、元天下人の家系である豊臣家が刃を向ける可能性もあると考えた家康はさすがです。
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