「2030年からの警告 社会保障 砂上の安心網」日本経済新聞社[編] 日本経済新聞出版社 1,700円+税
リサーチレポートの参考書として読みました。
少子高齢化、人口減少にともなう労働人口の大幅減少、そのために引き起こされる社会保障の危機は、ふだんテレビや新聞でもいわれていることです。
でも、不安を煽るとか楽観論とか、極論しか聞かない気がします。
愚直に、真摯に
厄介なことや、難しいことは、だれも考えたくはないものでしょう。
日経新聞の記者たちは、政治家・医師・介護施設関係者などさまざまな人たちへの取材を行っています。けっこうシビアな質問もぶつけています。
愚直、真摯な取材の中で、意外な事実が垣間見えます。
例えば、公共工事は、一時期税金の無駄遣いとしてやり玉にあげられていました。
確かに無駄な工事もあったかもしれません。
しかし、公共工事が少なくなったことは、地方経済にとっては死活問題でした。
そこで、建設会社が介護施設を作り、運営するといったことがあるのだそうです。
これで一見落着というわけではありません。
人口減少が進めば、介護施設も不要になる可能性が高いです。
そのため、社会福祉に依存した経済のあり方は危険であることを本書では指摘しています。
パラダイムシフト
「75歳以上、窓口「2割」に来月引き上げ」という新聞記事を読みました。(2022年9月27日(火)毎日新聞朝刊)
記事によると、この制度を取り入れても「効果 1人当たり僅か年800円」とも書かれていました。
「800円」でもチリ・つもかもしれません。
何もしないよりはマシかもしれません。
でも、この制度変更のために、各自治体、病院・医院の関係者に与える影響を考えると、かえってマイナスなのではないのかと思ったりします。
小手先の制度変更ではなく、根本的な構造を変える必要があるのではないのでしょうか。
「パラダイムシフト」が必要なのでしょう。
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