福祉政策と人権:その2

箱入りドーナッツ 放送大学大学院

Photo by Unsplash, Conor Brown

本日のお題は「労働者保護と人権保障」です。
特に非正規労働者、クラウドワーカーについてのお話でした。

クラウドワーカーとは?

ギグワーカーとも呼ばれる働き方ですね。
飲食物のデリバリーやライドシェアのようなお仕事をするかたを指す用語です。

特にコロナ禍で、通常営業ができなくなり、お持ち帰りだけの営業を行う飲食店が多くなったさいに、飲食物のデリバリーは需要が激増しました。

しかし、クラウドワーカーとは、一般的な「労働者」ではないそうです。
このことは労働基準法が適用されないことを意味します。

そのため、飲食物のデリバリー途中で、交通事故に遭うことがあっても、労働災害とはならないそうです。
会社に所属し、働く人であれば、労働災害として認められます。

今回のゲスト講師である沼田 雅之先生によると、ウェブサイトで求人を募集するタイプは、応答しないと仕事を紹介してもらえなくなるそうです。またスマホアプリで求人を募集するタイプは、応答しないとアプリが使えなくなることもあるのだそうです。
つまり、ウェブサイトやスマホアプリを提供する側には、クラウドワーカーに対して、直接的指揮命令をしていなくても、支配的であるといえそうです。
ということは、クラウドワーカーも従来型の雇用者、つまり「労働者」と同じではないでしょうか?

ここで登場、憲法

日本国憲法第27条は次のような内容となっています。

第二十七条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
② 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
③ 児童は、これを酷使してはならない。

勤労の義務を規定しています。
第1項では、勤労の義務、第2項と第3項では、勤労に対する権利を規定しています。

「すべての国民」に「勤労」の義務があるよ、ということです。つまり、憲法第27条では従来型の雇用である「労働者」だけを対象としているわけではありません。
働き方を問わない、ありとあらゆる働く人、勤労者が対象であると考えることができそうです。

そこで、今回の授業では、従来型の雇用者である「労働者」もクラウドワーカーも、だれもが同じ権利、保護を受けることができる必要がある、という結論となりました。

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