自由への逃走

活動日報

Photo by Unsplash, The Prototype

「三十六計逃げるに如かず」
「逃げるは恥だが役に立つ」
時代や地域問わずいわれることです。

開かないのは押さなかったから

いつもより遅めの出勤なので、今乗っている電車はガラガラ。
この車両には自分しかいない。
窓の外を見ると、となりの線路を貨物列車が並走している。
貨物列車が通るとついつい、見てしまう。

貨物列車は色々なものを運ぶ。それを必要とする人たちのもとに届ける。でも、きっとだれも自分の手に届くまでのことなど考えもしないだろう。届いて当たり前、あって当たり前。

別に感謝されることもなく、でも黙々とたくさんの荷物を運んでいる貨物列車の姿が好きなのだろう。

貨物列車はどこに行くのだろう?
あとしばらくすると自分が乗っている電車と分れて、別の線路を進む。

ドアの近くに立ち、貨物列車を見送っていた。
ドア近くには、ドアを開閉するボタンがある。
夏や冬は車内温度維持のため、駅に到着したさい、乗客がドアを開けるということになっている。

ふと、ドアの「開く」ボタンを押した。

ドアが開いた!
強い風が入りこみ、飛ばされそうになった。
車内に押し戻される。
と思った瞬間、並走する貨物列車に飛び乗った。
映画の1シーンみたいに、貨物の上に飛び乗ることができた。

貨物列車のスピードは速く、さっきまで乗っていた電車がどんどん遠ざかる。

これからどこへ行くのだろう?
会社に行かないことだけは確実だ。もうあの場所に行くことはない。
それだけでじゅうぶんだ。
貨物列車の行く先に、行くことにしよう。

ボタンを押すことすらしなかったけれど、今日は押してみたら、ドアは開いた。
どこにも行けないわけはない。
ただ行けないと思ってしまっているだけ。
本当はどこにだって行くことはできる。

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