Photo by Unsplash, Aleksi Tappura
日曜日の夜に見るとさらに悲しくなる内容だろうと思っていましたが、見ないわけにはいかないので見ました。
「限界」の怖さ
私は現在「国民皆保険制度を維持する方策を考える」というテーマで修士論文に取り組んでいます。
「国民皆保険制度」、それを支える「公的医療保険制度」が制度的に危うい、ということは、制度を見なおすことでどうにかできるかもしれません。(それでも簡単にできることではないですけどね。)
でも医療の現場そのものが「限界」となると、見なおす内容は多すぎるし、医療だけでなく、地方自治や国政レベルでの取組みが必要となるのは素人でも分かります。
「健康は失ってから初めて気づく」という言葉があります。
医療も同じですね。
地域にあった病院の運営が縮小される、最悪なくなるということになって、初めてその大きさに気づいてしまうのでしょう。
コストがかかるから医療費を抑制しましょう、といったところで、人間は病気もケガもします。しない人もいるかもしれませんが、することを前提が当然のはずです。
そのために、国民皆保険制度や公的医療保険制度があります。それらの制度を実現する場所である病院がおかれた状況は、先進国としては恥ずかしいです。
負のスパイラルをどこで断ち切る?
番組の舞台となったのは島根県にある総合病院です。
この病院は地域医療の拠点して、半世紀にわたり24時間365日急患を受け入れてきたそうです。
現在では28人いた医師が12人まで減り、医師の確保がままならない状況です。
それでも地域医療の拠点として急患を受け入れているそうです。
医師の確保が難しくなった原因の一つとして、2004年から始まった「研修医制度」があげられていました。
この制度により、新人医師は職場を自由意志で選ぶことができるようになりました。そのため地方の医療機関には医師が就職しなくなったそうです。
また不足しているのは医師だけでなく看護師も同じで、番組の舞台となった島根県にある総合病院では、看護師が大量辞職する様子も紹介されていました。
医師・看護師が不足すれば診療サービスを縮小せざるをえません。番組の舞台となったのは島根県にある総合病院では、ベッド数を減らす決断をするということが紹介されていました。
そもそも地方都市では人口減少が進んでおり、病院の収益も影響を受けています。
医師・看護師不足でベッド数を減らすということは、それだけ入院患者を受け入れられないわけであり、さらなる収益減少の原因となります。
番組では、日本全国の病院のうち69%が赤字経営だといっていました。
なんかダメなことだらけです。
完全に悪循環に陥っています。下降しながらぐるぐる回っているので、どこかで「ぐるぐる」を断ち切るしかありません。
がんばってる人のがんばりが裏切られない社会
番組の舞台となった島根県にある総合病院では、32歳の医局長が、ひとり奮戦されています。
ふだんの診療はもちろん、病院を建てなおすためにも、日夜努力されています。
お休みはあるのでしょうか。健康管理大丈夫ですか?
見ていて、心がいたみました。
努力をすれば報われるとは限らないです。
うまくいかないことほうが圧倒的に多いですよ。
でもね、その努力が裏切られない社会であってほしいです。
そのためには、そのかた以外のだれかの助力が必要です。
その「だれかの助力」として、国民皆保険制度や公的医療保険制度を維持する方法を考えることは、有用かもしれない。
と思うと、何が何でもくらいついていって、論文を完成させようと決意を新たにした日曜日の夜でした。
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